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日本茅葺技術保存普及協会

施工風景

つがる市S様邸

この物件は築97年の農民家で、過去二回の差し茅工事をしており、前回の差し茅工事から30年以上経過して傷みが目立ってきたうえに、春先の突風で小さかった穴が広がり、雨漏りしてきたため、差し茅工事を検討しておりました。

このお宅は農協の共済に加入していたので、施工費の約60%近い保険金を受け取ることが出来ました。

施工範囲全体に足場を架けてゆき、飛散防止のネットを張ってゆきます。
この時屋根上方にある倉及び八方等の修理や、板金の葺き直しを先に行います。

先ず長方形や正方形の母屋の場合、四隅の角を葺き上がり、そこを基準に、隅を繋ぐように平の軒先に茅をさしてゆきます。
この四隅の施工は、同じ職人が行わないと技術差やバランス等微妙な違いが出てきて良くないので、大きな家屋や高さのある屋根でも一人で葺いてゆきます。

古い茅を引っ張り出し、脆くなったり、苔の生えている部分を取り除き、一回に縛る範囲に目印の竹を差します。
新しい茅を差し込み馴染ませてゆきます。
次に、先に縛って固定されている茅束に少し針を差し込み、今縛っている茅束を固定してゆきます。
この作業をひたすら繰り返し行います。

茅の長さは3尺(約90㎝)と1尺8寸(約55㎝)の2種類あり、3尺で葺き上げ、仕上げに割を入れ、楔の様に所々に差してゆきます。

倉の下端は、4尺くらいの長めの茅を二つ折りにして差し込み、同線や、番線で、倉の前板から吊りながら編み込んでゆきます。

数段差し茅を横に葺き進み数段上がるごとに丸太で足場を結びながら作業してゆきます。

倉の下端が葺き終わると、足場をほどきながら下がってゆきます。
下がりながら、穴や、不揃いな所を短い茅を差したり、刈り込んで整えてゆきます。

この後数週間~一冬で茅がなじむまで多少の抜けや不具合が生じる場合があるので、抜けなどが生じた場合は、直ぐに差し茅補修し、整えてゆきます。
以上が差し茅工事の全体の流れになります。

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